問題
2026年7月31日、日本政府・日銀による円買い介入に続き、米財務省もニューヨーク連銀を通じて円買い介入に加わったと報じられた。一般に、こうした「協調介入」は一国のみの「単独介入」よりも市場への効果が大きいとされる。その構造的な理由として最も適切なものはどれか。
A. 二国が参加することで介入資金の総額が倍増し、市場の取引量を物量で上回れるため
B. 通貨の「売り手側」と「買い手側」双方の当局が同一方向の意思を示すことで、当局間の利害不一致を前提とした投機ポジションが成立しにくくなり、シグナル効果が増幅されるため
C. 協調介入はIMF協定上の正式手続きであり、市場実勢にかかわらず為替レートを一定期間固定する法的拘束力を持つため
D. 米国が介入に参加した場合、FRBが自動的に協調利下げを行う制度的枠組みが存在するため
正解
B. 双方の当局が同一方向の意思を示すことで、当局間の利害不一致を前提とした投機ポジションが成立しにくくなり、シグナル効果が増幅されるため
迷いやすい誤答
A. 介入資金の総額が倍増し、市場の取引量を物量で上回れるため直感的に最も選びやすい誤答。
しかし外国為替市場の1日の取引量は数兆ドル規模であり、報道された介入規模(米側で50億〜100億ドル程度)では物量で市場を圧倒することはそもそも不可能。介入の効果は資金量ではなく「当局の本気度を示すシグナル」と「投機筋のポジション解消の連鎖」を通じて生じる。「量が2倍だから効果も大きい」という素朴な比例思考を検出する誤答。
C. IMF協定上の正式手続きであり、為替レートを固定する法的拘束力を持つため「協調=公式の国際制度」という誤った連想を突く誤答。
1973年以降の変動相場制の下では、協調介入(1985年プラザ合意等を含む)はあくまで当局間の政策協調であり、レートを法的に固定する枠組みは存在しない。固定相場制(ブレトンウッズ体制)の知識と混同すると選びやすい。