同じ年に2つの飢饉」という史上初の事態 ─ 紛争起因の飢餓、国連安保理が討論へ

国連安全保障理事会は8月、「紛争に関連する食料不安」をテーマとするハイレベル公開討論を開く(議長国デンマークの主催・国連発表)。背景にあるのは、4月に国連食糧農業機関(FAO)・世界食糧計画(WFP)などが公表した「食料危機グローバル報告書」の内容だ。2025年に世界47カ国・地域で約2億6,600万人が深刻な食料不安に直面し、報告書の10年の歴史で初めて、同じ年に2つの飢饉(ガザ地区とスーダンの一部)が確認された。飢餓の主因は異常気象を上回り「紛争」となっており、緊急レベル(IPCフェーズ4)の人口は約3,900万人と2016年の約3倍に達した。一方で、人道支援の資金削減により食料安全保障のデータ収集自体が細り、報告書の分析対象国は過去10年で最少。「数字上の改善」が実際には「データの消失」を映しているとの警告も示された。飢饉のリスクは2026年もガザ、スーダン、南スーダンで続くとされる。

主な焦点は3点

  • 1. 飢餓の主因が「天候」から「紛争」へ。人道アクセスの遮断や包囲戦術など、人為的な要因が飢饉を生む構
  • 2. 支援資金の削減がデータ収集の縮小を招き、危機の実態そのものが「見えなくなる」二重の危機
  • 3. 大国間対立が注目を集める一方、アフガニスタン、イエメン、南スーダンなど長期化した危機に世界の3分の2の飢餓人口が集中

学習のポイント

ウクライナや中東の戦況といった「見出しの中心」の裏側で進む、構造的な危機を捉える事例。飢餓が天災ではなく紛争の帰結(時に戦術)として生じる構造、そして「測定されないものは対応されない」というデータと政策資源配分の関係を学べる。報道量と危機の深刻さが必ずしも一致しないこと(メディアの注目の偏り)を意識し、国際機関の一次報告書に立ち返って全体像を確認する姿勢が問われる。